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読売新聞朝刊に紀州梅効能研究会の研究に関する記事が掲載されました
(2020年9月16日)
疲労回復 ピロリ菌抑制
(以下、読売新聞朝刊掲載記事より抜粋)
飛躍!紀州の梅 効能様々:
梅干しを中心とした梅を長年研究し、様々な効能を明らかにした「梅干し博士」が県立医大(和歌山市)にいる。
宇都宮洋才准教授(細胞生物学)。
研究室の壁には梅関連のポスターが所狭しと貼られ、机の上には梅飲料がずらり。
冷蔵庫を開けると、梅干しの甘酸っぱい香りが漂う。
「梅は果樹王国・和歌山をまぶしく輝かせる存在」と熱っぽく語る。
大分県出身。
1998年、和歌山県立医大に赴任した際、みなべ町の梅農家出身の同僚から「梅は日本人の生活に密着した健康食品」と教わり、興味がわいた。
同町に足を運び「疲れがとれる」「風邪に効く」などと梅農家から聞いた。
だが当時、梅の効能を科学的に明らかにした研究はほとんどなく、あくまで言い伝えだった。
「効能を証明すれば、梅農家の人たちの励みになるんじゃないか」。
そう考え、すぐに研究に取りかかった。
2006年頃から、梅に含まれるシリンガレシノールという成分が、胃潰瘍や胃がんの原因となるヘリコバクター・ピロリ菌の抑制に効果があるとの論文を相次いで発表。
これを受け、共同研究していたみなべ町が08年に関連の特許を取得した。
研究が市販品に生かされた例もある。
16年頃、梅の果実に豊富に含まれるクエン酸について、大阪の大学などと共同研究を開始。
17年、クエン酸に疲労回復の効能があることを示す研究成果を発表した。
成果を受け、みなべ町の梅干し製造会社「トノハタ」は、製法を工夫し、塩分を減らしてクエン酸を従来の数倍に増やした「クエン酸たっぷり梅干」を19年12月に発売。
消費者庁に「機能性表示食品」として認められ、包装には「疲労感が気になる方に」などと記載した。
今月中にも第2弾となる「はちみつクエン酸梅干」を発売する予定だ。
梅の果実は、ほかにも様々な成分を含む。
宇都宮さんはそれらの成分について、インフルエンザや花粉症などの予防や症状抑制に役立つ可能性があることを実験で突き止めたといい、さらに研究を進めている。
「梅に関する研究ネタは無数にあり、どこまで続くか未知数。梅を通じてみんなの暮らしを豊かにしたい」と意欲に燃えている。
(2020年9月16日 読売新聞朝刊掲載)