食中毒予防
梅干しを食べると食あたりになりにくいという昔からの言い伝えがありますが、梅干しが食中毒菌である「黄色ブドウ球菌(MRSA)」や「病原性大腸菌(O-157)」といった食中毒菌の増殖を抑制する作用(制菌作用)があり、食中毒を予防する働きがあることが明らかになりました。
病院では毎日多くの検査や手術を行っております。また手術は長いものでは10時間を越えるものもあります。そのために外科医の先生はお昼ご飯が夕方や夜中になってしまうことがあり、この時ご飯に梅干が入っていれば「ご飯」を食べることができるが、ご飯に梅干が入っていなければご飯が「納豆」の様にネバネバなりご飯を食べることができないという話を聞きました。これは梅干がご飯の腐敗を防ぐ機能、「制菌作用」があるということを意味することです。
そこで梅干のこの「制菌作用」を試験管内で確かめることにしました。
食中毒菌「黄色ブドウ球菌(MRSA)」を入れた2本の試験管。右の試験管にのみ梅干を入れ、人間の体温と同じ37℃で一晩温めました。
梅干の入った右の試験管は、背景の黒い菱形模様が透けて見えます。 梅干の入っていない左の試験管は、「黄色ブドウ球菌」が大量に増殖して濁り(混濁)、背景の黒い菱形模様が見えません。
この実験結果から、梅干には食中毒の原因である「黄色ブドウ球菌」の増殖を防ぐ機能があることがわかります。
黄色ブドウ球菌(MRSA)
同様の実験で、梅干には「病原性大腸菌(O-157)」の増殖を防ぐ機能もあることがわかりました。
健康な胃は殺菌作用がある胃液を分泌しているので、食中毒は起こりにくいのですが、体調を崩して胃酸の働きが弱っている時は、梅干しを食べることによりクエン酸の強い殺菌力で発症を予防できます。
病原性大腸菌(O-157)